マクロビオティックとは?「陰陽調和」

マクロビオティックの原理である陰陽

マクロビオティックの原理である陰陽

 陰陽とはマクロビオティックの原理であり、また東洋の伝統的な世界観でもあります。
 中国や日本では古くから、物事を陰陽というモノサシで見る見方が発達していました。東洋のこうした考え方に共通なのは、陰の性質と陽の性質の織りなすメカニズムが、森羅万象に浸透しているとする点です。ですから体質だけでなく、食べ物や人間関係や、科学の中にもその働きを見ることができるのです。
 ここにはマクロコスモス(大宇宙・摂理)とミクロコスモス(小宇宙-人体、社会、原子などなど)との共鳴を認める姿勢があります。それは東洋思想や神秘主義に顕著な特徴ですが、先端的な科学者の中にも、物理学の発見が、この古代からの知恵に驚くほど類似していることを主張する人たちがいます。(たとえば電子にも、陰電子と陽電子があるように…。)
 けれども、では陰とは何か・陽とは何かと改めて問われると、たいていの人はとてもあいまいにしか答えられないのではないでしょうか。そこで桜沢如一は、『易経』や『老子道徳経』などをもとに、その考え方を整理しました。ごく簡単にいえば、「陽」とは収縮していく求心的なエネルギー(またはそうした状態)、「陰」とは拡散していく遠心的なエネルギー(またはそうした状態)を指します。
 ただし陰陽はあくまで相対的なものです。あるものや性質を陽と決めたとき、初めて陰となるものや性質が出てくるのであって、尺度によっては同じものが陰になったり陽になったりすることに気をつけなければなりません。単純な例では、A、B、Cという三つのものがあって、BはCと比べた場合には陽性といえるけれど、Aと比べた場合には陰性といえる、ということがあります。
 また、人の体質や性格にしろ、食べ物にしろ、まったく陽性だけとか、まったく陰性だけということはありません。形あるものは必ず、両方の要素をもっています。たとえば伝統的には男性は陽、女性は陰とされてきました。全体的に比べると、そういえるのですが、部分的に見れば、男性も女性も複雑に陰と陽の性質をあわせもっています。身長や体型を比べると、男性のほうが背が高く、肩など体の上部が広がっていて陰性である、ということもあるわけです。もっと細かく見ていく場合には、個人差も考えに入れなければいけません。
 さらに、夏は暑いから陽、冬は寒いから陰と考えられますが、視点を変えると夏は体をゆるませ陰性にする季節、冬は体を縮こまらせ陽性にする季節ともいえます。このように、物事の陰陽を語るときには、どこに注目しているか常に明確にしておく必要があります。陰陽の原則をいったんマスターすると、あらゆる現象に応用できておもしろいものです。つい何でもわかったような気分になってしまうかもしれませんが、さらに探究を進めていくと、私たち人間にははかりしれない宇宙や人間の神秘に深く打たれることでしょう。

人智を超えた自然の摂理、宇宙の秩序に調和していく

人智を超えた自然の摂理、宇宙の秩序に調和していく

 人間の健康や性格、それに自然現象や政治経済にいたるまで、陰陽どちらにも偏りっぱなしになることなく、二つの性質がほどよく保たれているなら、それらは穏やかでゆったりしたものとなります。ものごとを適正にしておくには、この「陰陽バランス」を考慮に入れる必要があります。
 これは決して、真ん中の一点にとどまり動かないということではありません。すべてのものが変化していく中、変化のバランスがとれているということなのです。それはすなわち、人智を超えた自然の摂理、宇宙の秩序に調和していくということです。安易な相対主義は避けなければなりませんが、何か一つのものが絶対によいとか正しいとか考えることは、往々にしてこの調和を崩してしまいます。生命にしても社会にしても、必要な変化をしないことは病んだ状態なのです。
 たとえば自律神経には交感神経と副交感神経があり、片方が優勢に働いているときはもう片方はあまり働かないという関係になっています。その交替が適切に行なわれるのが健康であって、どちらか一方ばかりが働くようになると、自律神経失調としてさまざまな不快感が現れるわけです。
 宇宙も、人間が呼吸をするように、拡張と収縮を繰り返しているといわれます。バランスがとれているというのは、一定限度の「揺れ」のある状態です。つまり、極端に走ったり、一つの状況に固定されたりせず、しなやかに動いている状態なのです。
 そういう状態であれば、一時的に大きな揺れがあっても、もとに戻ってきやすいでしょう。さまざまな事態に、速やかに対応することができるはずです。

食べ物も宇宙の法則を反映している

 この陰陽の法則が森羅万象に当てはまるなら、当然、人間の健康にも、それを支える食べ物にも適用できるはずです。では人間にとって、どんな食べ物がより陽性で、どんな食べ物がより陰性か、具体的に考えてみましょう。
 陰の性質は遠心的・拡散的であること、上昇性、静かさ、冷たさなどです。陽の性質は求心的・収縮的であること、下降性、動き、熱さなどです。この原則を、食べ物を見るときの目安に置きかえてみます。

動き

動物性のもののほうが陽性で、植物性のもののほうが陰性です。

環境

寒い地域でよく育つもののほうが陽性で、暑い地域でよく育つもののほうが陰性です。

上昇性・下降性

・植物の中では、背が低いもののほうが陽性で、背が高く成長するもののほうが陰性です。
・野菜の中では、根菜のほうがより陽性で、葉菜のほうがより陰性です。

形色

穀類や野菜などの形は、丸いほうが陽性で、細長いほうが陰性です。

大きさ

野菜などの大きさは、小さいほうが陽性で、大きいほうが陰性です。

堅さ(水分)

水分の少ないものは陽性で、多いものは陰性です。

苦いもの、塩からいものは陽性で、甘みの強いもの、酸っぱいもの、辛いものは陰性です。

成分

ナトリウム=塩分(ものを収縮させる働きがある)が多いほうが陽性で、カリウム(ものを拡張させる働きがある)が多いほうが陰性です。

成分

・日に干したものは、そうでないものより陽性になっています。
・長時間、熱を加えたものはより陽性で、短時間で料理したものはより陰性です。
・圧力をかけたものはより陽性で、かけないものはより陰性です。
・これらは目安です。実際にはすべてのものが陰性と陽性をもっていて、二つの性質は複雑にからみ合っています。ある要素について見ると陽性な食べ物も、別の要素について見ると陰性だったりします。
・磁石のS極とN極のように、陽は陰を引きつけるという法則があります。強い陽性をもつ食物は、どこかに強い陰性をもっています。たとえば、地下に伸びていく根菜は陽性とされますが、陰性なアクももっているのです。一つの要素だけにとらわれず、より全体的に(多くの要素を)見て判断しましょう。
・陰陽の法則は、わかりやすい現象から実際に観察し、実践することにより、体得していくことが大切です。書物や人から学ぶことも有効ですが、実際に食べてみて、その結果をよく観察する、そんな研究も必要です。

 私たちの体の中では、さまざまな成分がそれぞれ役割を果たしており、その成分比も重要です。たとえば神経の伝達システムにおいては、ナトリウムとカリウムの割合が非常に重要です。この割合はホメオスタシスの働きにより、必ずしも厳密に割合どおりの食べ物を食べなくても、ちょうどいい具合に保たれています。ただし食べ物の中の成分比があまりにも体内での割合とかけ離れていると、それを一定にもっていくのが困難になります。このことが、ほかの成分、そして性質についてもいえるのです。
 極端に陰性な食べ物や極端に陽性な食べ物を除いた、一定の範囲内のものを食べていれば、体も心もバランスがとれてきます。基本的には、別表の右にも左にも偏らず、真ん中あたりのものを中心に食べていれば健康を保てることが、経験的にわかっています。
 日頃バランスのよい食事をして、しっかりした体と心ができていれば、ときに作用の強い食べ物を食べてしまったり、感情が大きく動いたりしても、すぐに立ち直れるでしょう。けれども、体や心がいつも極端から極端へと動いていると、次第に消耗し、回復力がなくなってしまうのです。
 ただし、固定的で観念的な陰陽論に陥ることは避けたいものです。「これは陰か?陽か?」とばかり考えて頭デッカチにならないよう、気をつけてください。どういう人が、何をいつどれくらい食べたらよいのかについては、栄養学者や医者や健康指導家がいろいろなことをいっていますが、絶対に正しい答えは見つかっていないのです。
 食べ物の中の要素はいくら分析しても、し尽くすことはできません。自然の摂理にしたがい、住んでいる土地の季節の食べ物を、一定の範囲内でいろいろ食べることが、陰陽のバランスを保つ近道ともいえます。
 その上で、自分をよく観察してみましょう。自分にとって何がいいかは、自分が一番よくわかるはず。少し頭を使って工夫した後は、自分の体が気持ちよいか、長い目で見ていいほうに向かっているか、体に聞いてみてください。また精神や情緒の状態はどうか、仕事や人間関係のあり方はどうかなどもフィードバックして、自分に合った食のスタイルを創っていってください。陰陽について詳しく学びたい方は、『宇宙の秩序』『無双原理・易』『東洋医学の哲学』(桜沢如一著、日本CI協会)をお読みください。

食べ物の陰陽表

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