実践者が語る、食と暮らし11
My Macrobiotic Life
Students’ diaries from cooking school LIMA
クッキングスクール リマ 受講生ノート
【第11回】岩田 恵理子さん

Profile
岩田 恵理子/アドバンスII受講中。東京在住の会社員。
食べることと旅行が大好き。


受講後の意識の変化
楽しかったベーシックⅠコースを修了し、次は一体どんなことが学べるのか、ワクワクしながら進級しました。ベーシックⅡコースでは、食物・調理法・身体の状態の陰陽を考えながら、季節と体調に合わせた食事づくりを学んでいきます。食物の陰陽を学べば学ぶほど、今までの自分の好みやチョイスしてきたものがそもそも季節や身体にまったく寄り添っていなかったこと、偏っていたことがわかってきました。
大人になるにつれて季節の移り変わりに鈍感になっていき、特に意識もせず季節や体調に反した食物・調理法を選んでいたことに気づきました。クッキングスクール リマで学び始めてからは、食材の旬、季節を意識するようになり、そして日常のふとしたときに陰陽を感じたり、考えたりするようになっていきました。
また、目に見えて病気をしているわけではないけれど、なんだか元気が出ない……一体どうしたらいいのだろう。この先も今の生活を続けていていいのだろうか、何かを変える必要があるのではないか。そんな風に感じていたことも、マクロビオティックとの出会いによって活路を見出すことができ、本当によかったと思っています。


食事をいただくときに私がまず意識したことは、よく噛むことです。主食にパンを選ぶ頻度を減らし、ご飯(お米)をたくさん食べるようになると、自然とよく噛むようになりました。今では噛むことが身につき、きちんと噛まないとなかなか飲み込めないようになっています。でも麺類やパンを食べるときは、噛む回数が少し減ります。それもお米を主食の中心に選ぶ理由のひとつです。
講義のなかでいちばん印象に残っているレシピは、食養きんぴらです。材料をとても細く、とても薄く切るのですが、食材の切り方にも陰陽があって、それを考えながら、思い出しながら刻むことが楽しく、今では私の定番料理になっています。
クッキングスクールリマでは受講生を随時募集中!
詳しくはHP(https://lima-cooking.com)をご参照ください。
My Macrobiotic Life
Practitioners talk about food and lifestyle
実践者が語る、食と暮らし
今を生きて、未来へつなぐ
Vol.11 クッキングスクール リマ認定インストラクターコース受講中 N.M. さん


自然のなかの日常で育まれる
持続的な健康と幸福は
クッキングスクール リマに通い始めて1年8ヶ月。アドバンスⅡを修了、現在はインストラクターコースで学びながら、再受講で基本を学び直し、また料理教室のアシスタント見習いとしても活動しています。今年に入り、友人と月に一度のマクロビオティック食事会を始め、おむすび屋さんの営業もスタートしました。同時に畑や田んぼにも挑戦し、作物を育て収穫する喜びを日々実感しています。秋にはいよいよ初めての稲刈りを迎えます。
私がマクロビオティックに出会って感じたのは、幼少期から母に聞かされていた1950年頃の暮らしと重なる部分が多いということです。田んぼでお米を育て、畑で野菜を収穫し、海では魚介や海藻、山では山菜や野草を採る。湧き水や川の水を使い、薪の灰を畑に撒いたり食器洗いに利用したり──自然とともに暮らすことが当たり前の時代でした。これは、マクロビオティック創始者・桜沢如一氏が述べた「自然の摂理に基づき、宇宙の秩序と調和を図る生き方」そのものだと感じています。持続的な健康と幸福は、自然の恵みに触れながら暮らす日常のなかで静かに育まれていくのだと実感しています。
一方で、都心での生活は自然が身近に少なく、不自由さや乏しさを覚えることもあります。先日訪れた東北には、黄金色の稲穂が一面に広がり、川の水は澄み、山々が幾重にも重なる美しい風景がありました。しかし、そんな豊かな自然がありながら、自然体の食事を日常に取り入れるのはまだ難しい現状です。現代を生きる若い人たち、そして未来を担う子どもたちが、安全で安心な環境のもと、心身ともに健やかに育つことを心から願っています。


幸福と愛に満ちた世界に
謙虚に誠実に今を生き
私が始めた食事会やおむすび屋、米づくりは、玄米や穀物、お味噌汁といった基本の食を多くの人に届けたい、そして「マクロビオティックの真実」を日常に取り入れてもらいたいという想いからです。現代人の味覚に寄り添いながら、満足感が得られるよう試作を重ねています。時間も労力もかかりますが、食べた方の笑顔や驚きが、私にとって何よりの励みです。食事会では、ご自宅でも気軽に玄米菜食を取り入れられるよう、炊き方の実演やマクロビオティックの小話を交え、参加者の皆さんと楽しく交流しています。今年から始めた米づくりでは、陽(火)と水のエネルギーが生み出すお米の生命力、助け合ってこそ得られる収穫の尊さ、そして食に対する自立の大切さを学んでいます。
自然はそれぞれが個別に存在しているのではなく、すべてがつながり共存しています。人間もまた、その一部として生かされている存在なのです。長い時間をかけて受け継がれてきたこのつながりを忘れず、謙虚に、誠実に、今を生きる。そして、過去が築いた今、今が築く未来、そのすべてに畏敬の念を抱き、感謝で満たされるとき、世界はもっと幸福と愛に満ちたものになると信じています。私の夢は、〝マクロビオティックを語るミナばぁ〟になること。未来を生きる人たちに、そのすばらしさを伝え続けるために、これからも学び、行動し、精進を重ねていきたいと思います。これこそが、今の私に与えられた大切な課題です。


ジャーナルの記事
自然との調和に生きる里山暮らしの愉しみ
vol.11 棒を持つ猿
猿にしたある実験について聞いたことがある。まずバナナを高い紐につるしておき、すぐ下の道端に長い棒を横たえておく。すると猿は長い棒を使ってバナナを叩き落す。そしてバナナを食べ終わると棒を捨てて歩き去る。猿は目の前のことにしか興味がない。一方で人間の場合、2本目のバナナがあればまた落とせるので棒を持ち続ける。実際の生活にも同じようなことが起きていて、人間は食糧やお金そして生活道具を蓄える。1本では足りずに何本もの棒を抱え込んでいる状態である。



