オーサワの有機立科麦みそ

ライフイズマクロビオティック_味噌

四季と風土が培った、

日本の暮らしを支える食

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四季と風土が培った、

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特集

味噌

味噌は、大豆と麹と塩という3つの材料だけで作られる、実にシンプルな調味料。

そのシンプルさゆえに材料の質、製法、環境で大きく味わいが変わる奥深さがあります。日本人にとっては醤油よりも長いおつきあいとなる、舌にも腸にも欠かせない存在ではないでしょうか。かの徳川家康が平均寿命38歳といわれた時代に75歳という驚異的な長寿を叶えたのも、味噌汁を毎日飲んでいたからという説もあります。

発酵食品のよさが改めて周知されている昨今。今号では味噌にアプローチし、現代に生きる私たちにとってどのような味噌がよいのか、どう取り入れるとよいのかをご紹介します。

文/柳澤智子  撮影/坂井竜治

つくり手の現場から

ー オーサワの有機立科麦みそ

初代から続く製法を今も

立科がもつ自然の力と

腸内の善玉菌を活性化してくれる味噌。味噌は、材料、仕込み方、環境によって無数の個性が生まれるものです。マクロビオティックの観点では体をあたためてくれる陽性の食材で、体が冷えがちな方は積極的に摂ってほしい調味料。特に、菌が生きている非加熱の天然醸造のものがおすすめです。

長野県立科町にある老舗「酢屋茂」は、その味で知られる醸造元で、豆、玄米、米、麦の4種の味噌を製造しています。同社があるのは、芦田宿という地域。旧中山道の途中で、周りには大きな門を構えた古民家や酒蔵が並ぶ中、酢屋茂も築100年以上の日本家屋の店舗と歴史のある蔵を持ち、商いを続けています。

「うちは、明治26年創業でもともとは酢をつくっていました」というのは、5代目の今井総一郎さん。「このあたりでは蓼科の水を活かして日本酒が盛んにつくられてきました。その醸造過程の酒の一部を引き取って、酢をつくっていたんです」

”茂”の字は、初代の今井茂太郎さんの名から。いつしかお酢はつくらなくなりましたが、培ってきた発酵技術を用いて味噌、醤油、甘酒をつくるようになり、そのおいしさが評判となりました。


「父の代のときも私が継いだ今も自然の流れに逆らわず、伝統的な方法でつくっているだけなんです」と謙遜する今井さん。

酢屋茂も築100年以上の日本家屋の店舗と歴史のある蔵を持ち、商いを続けています。
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蔵癖とは蔵の個性のことだが「長年の発酵で黒ずんだ壁はうちの蔵癖かもしれない」と今井さん。

「洗って一晩水に浸しておいた大豆を蒸してつぶして、工程を経てつくった麹と、塩を合わせる。その味噌のもとを、大きな容器に詰めて発酵、熟成させていきます。

おいしいと言っていただける理由のひとつは水でしょうか。醤油も味噌も仕込み水が大切と言われていますが、ここは多くの山に囲まれ、蓼科山麓からのミネラル分を含む伏流水が豊富に湧き出す地域ですから」

そして、もうひとつの大きな理由が立科の気候だと今井さん。


「創業以来、ずっと自然の温度にあわせて発酵、熟成させる天然醸造でつくっています。この立科は、夏と冬、昼と夜の温度差が大きく、夏でも乾燥気味。そんな環境でじっくりと時間をかけて熟成することで、味噌自体の味が引き出されるのではないでしょうか」


 水のよさと気候。立科という土地の力を最大にいかした味噌づくり。大量生産とは距離を置き、実直なまでに脈々と受け継いできた、この時間がかかる製法を続ける今井さん。つづいて、実際の工程を現場でうかがっていきます。

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蓼科山麓からのミネラル分を含む伏流水が豊富に湧き出す(「御泉水自然園 蓼仙の滝」 提供:信州たてしな観光協会)

だからこそ、よい素材を

材料は大豆と麹と塩だけ

さて、店舗から味噌蔵へ移動して下準備の工程を見せていただきました。今回は、麦味噌の製造現場です。九州をルーツとするはだか麦を使った麦味噌は、麹が多く甘いのが特徴。また熟成期間も短いため、マクロビオティックの観点では陰性寄りの味噌になります。そこでオーサワジャパンでは、国産の大麦を使って、麹の割合を減らし、長期熟成させたオリジナルの麦味噌の製造を酢屋茂に委託しています。

まずは、大豆から。


「ちょうど蒸し終わったので味見しませんか?」と、ほかほかと湯気が立ち昇る大豆をいただきました。思いのほか、甘い! 大豆がこんなに強い甘味を持つことに驚きました。
「甘味とコクが強い品種の大豆なんです。大豆は味噌の味、香り、舌触りを左右しますので、米麹に比べ甘味が控えめな麦麹で仕込む麦味噌には、この品種を使っています」

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蒸しあがった大豆

続いて、麦麹。麹づくり(製麹) の中心である「麹室」をのぞかせていただくと、木の実や栗のような甘い香りがふわりと漂います。

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麦麹


「麹も、大豆と同じくらい大切な素材。味噌の味わいを左右します。まず、麦は洗って1時間、浸けすぎないくらいに水に浸けます。その麦を蒸した後に麹室に入れて温度を調整できる状態にすることを”引き込み”といいます。麹室に入れた後、麦と麹菌を2日間かけゆっくり丁寧にかき混ぜる。麦に麹菌が入り込んで表面が白くなっていくのを”破精込み”と呼び、職人は、手で潰すなどして破精込みを確認していく。その具合が、麹の良し悪しを決めるんです」


 麹の状態を調える一連の流れは、”手入れ”と呼ばれ、長年の経験で培われた、職人の繊細な感覚が求められます。 そうして完成した麦麹に、天日塩を合わせます。さらに大豆と合わせ、味噌のもとができあがる。それを味噌蔵の容器につめて、発酵、熟成期間に入るのです。

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大豆と共に大切なのが麹。”一麹、二炊き、三仕込み”という味噌にまつわる格言があります。

立科が持つ環境と、大豆と麹と塩という素材の厳選、長年磨いてきた職人の勘が「オーサワの有機立科麦みそ」をつくっているのですね。


「加えて、蔵自体が持つ個性も大切です。空中には、さまざまな菌が浮遊しているんですよね。その菌も取り込んで味噌は発酵、熟成していく。建物の素材や風通し、そこに住む微生物の種類によって味は全く違うものになるんです」 

そして大切な要素が仕込む時期。昔から、味噌は〝寒仕込み〟といって、1月から3月に仕込むものとされてきました。気温が低いためゆっくりと発酵、熟成すること、冬は雑菌が少ないこと、秋に収穫したばかりの大豆や米、麦など新鮮な材料を使えることがその理由です。


「温度管理が容易になり夏でも仕込むメーカーも多いですが、うちは遅くとも5月まで。大きな容器に入れ、位置を入れ替えたりしながら、自然の状況と温度にまかせて1年間寝かせます」


 先代から継いで8年目、「出来上がりはいつも読みきれませんね」と笑う今井さん。温暖化などの気候変化や、国産の有機玄米、有機大豆の生産者が減り材料の入手が困難なことなど、時代の移り変わりで思わぬ壁も多くあるそう。伝統的な製法を続けるハードルが上がる中でも、代々のつくり方を踏襲すると力強く話します。

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麹と大豆を仕上げ、職人の手で味噌のもとを慣らし仕込む。
百年以上の歴史をもつ味噌蔵で、1年かけ熟成させていく。

「父は、こだわりという言葉を使いたがらなかった。味噌は生きものであり、味噌の強さはコントロールするものではない。その力と自然の移ろいにそえば、失敗はないんです」


 味噌の強さ。

 この言葉にハッとさせられました。素材と環境がもつ力を手助けして、味噌本来のおいしさを引き出す。しかも、酢屋茂の味噌は、非加熱の生味噌。商品となったあとでも、日々色合いや風味、香りが変化していきます。そんな日々の変化と、毎年の気候によって生まれる味の異なりを楽しむような味噌の味わい方があってもよいのではないかと、気づきがありました。

オーサワの有機立科麦みそができるまで

オーサワの有機立科麦みそ

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今井総一郎さん

株式会社 酢屋茂

酢屋茂の味を継ぐ、5代目・今井総一郎さん。取材中は奥様が特製の味噌料理も出してくださいました。「うちの味噌は、なめらかで舌にスッと溶けます。味噌汁や炒め物でもおいしいですが、生味噌そのものを味わえるから野菜につけてそのまま食べてみてほしいです。味噌の奥深い風味を味わえるはずです」

日本人の健康に欠かせない、味噌

味噌の力とは

ここまで味噌について色々とお伝えしてきました。締めとして味噌がもつ力について、マクロビオティックとの関連も合わせあらためてご紹介します。

味噌ほど、ひとつの食品だけでここまで多くの栄養を含むものは他にない、といわれています。というのは、主原料である大豆には、良質の植物性たんぱく質がたっぷり。さらに麹菌によってたんぱく質が分解され、約60%が味噌の水分に溶けて、非常に体内に取り入れやすくなります。また約30%が、人の筋肉や骨、皮膚をつくるのに欠かせないアミノ酸となります。加えて乳酸菌が増えることで、腸の機能を高めます。

味噌のススメ

マクロビオティック的、

玄米ご飯に味噌汁という古来から脈々と続く組み合わせは、日本の伝統食で、日本人のカラダに最も適した食事のひとつ。ですから、マクロビオティックにおいても「味噌汁」は欠かせません。国産の素材を使ってつくられた味噌は、陰陽のバランスを調えるのにも適しています。

季節の具材を入れた味噌汁の他、料理の隠し味にしたりと、積極的にレシピに取り入れてほしいものです。 

 市販の製品のなかには、生産効率を高めるため、仕込んだ味噌を加温し短期間で強制的に発酵、熟成させたものもあります。けれど本来の味噌は、自然の四季の移ろいの中でじっくり熟成させることで、独特の深い旨味と香りを持つものです。できるだけ国産の上質な原材料を使い、酒精などの添加物も使わず、伝統製法で長期熟成した、天然醸造味噌を選ぶとよいでしょう。


 季節や体調によっては、数種類の味噌をブレンドするのもおすすめです。味噌は加熱すると香りが飛んでしまいますから、調理するタイミングに気をつけて豊かな風味を味わってください。

四季に合わせて摂る味噌


マクロビオティックでは、基本、麦味噌7に対して豆味噌3の合わせ味噌にしますが、夏は麦味噌だけ、もしくは割合を多めにしたり、身体をあたためたい冬は豆味噌を多めにします。

春や秋は米味噌にしてもいいですね。また、すり鉢ですることで、舌触りがよくなり風味が増すだけでなく、味噌の粒を潰すことで溶けやすくなり、残さず摂ることができます。

(クッキングスクール リマ 認定インストラクター/大場セツ子)


※味噌は、環境が一定な冷蔵庫で保存するのがおすすめです!


おすすめ


マクロビオティックの
お味噌汁

旬の野菜などを具材に入れ、季節や食べる人の体調に合わせて、使い分けていきましょう。

立科麦みそでつくる
トマトソース

出来上がってすぐのソースは酸味が残りますが、2~3日冷蔵庫で寝かせるとまろやかでコクのある

立科豆みそでつくる
デミグラスソース

出来上がってすぐのソースは酸味が残りますが、2~3日冷蔵庫で寝かせるとまろやかでコクのある